rakuen

ファンタジーセックスをゆるゆる書いています。

未定

長い雨が降り続くある秋の夜、茉奈は歯科ユニットの上で冷え切った指先をぎゅっと握って震えていた。

「…斉藤茉奈さんですね。こんばんは、担当する葉山です。」

穏やかなテノールの声の男。30代前半くらいだろうか。マスクをしていてもわかる整った顔立ち、程よく引き締まった身体に紺色のスクラブを纏っている。

葉山は、顔面蒼白の茉奈をチラリと見ると、困ったようにカルテに視線を落とした。
初診の22歳、予約時の主訴は左下智歯の疼痛となっている。ほんのりと頬も腫れているように見える。
葉山はザッとカルテに目を通すと、マスクを外して茉奈に向き直った。

「斉藤さんは社会人かな。今日はお仕事帰り?」

 

「気になっているのは左下の奥かな。今もお痛みありますか?」